Vol.289 アダマン号に乗って

  • ニコラ・フィリベール監督
  • 2024/6/26(水) 14:00~、16:00~、18:00~、20:00~

・ヘンに「作って」ないところに好感を持った作品でした。光と色彩も自然で美しく、とにかく「アダマン号の日常風景」を何でもないことのように映していて、特に強調したり、スポットを当てたりしていないと言うか。実際はもっと色々ある(トラブルその他も)のかもしれませんが、それでもあの雰囲気は貴重で、続けていくための努力は大変なものだろうと想像します。

・パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンター船ということで、数年前にセーヌ川の観船に乗った私は、思い出のあの風景が見られるかと楽しみにしていました。少しがっかりした所はありますが、さすが先進国、精神疾患の有る人を文化活動で無料で支えサポートするというdaycareに感動しました。

・劇中、患者の一人が「人と話せることは嬉しい」との発言があり、よくわかる。私も患者として1年の半分は治療に費やし、スタッフさんらとの会話が支えでもある。(私は精神疾患ではないが、病持ちには変わりない) 人は誰しも自分を表現したい、わかってもらいたいという欲求がある筈である。例え一言二言でもよいのだ。お互いにわかり合えば。「アダマン」とは不屈を意味し、「征服されない」という意味でもあるらしい。そこに患者が20人いるとして、20種類のプライドと心がある。それぞれに守りたいものがあるに違いない。もちろん我々にだって。しかし、彼らの炊くジャムの美味しそうな事! コーヒーの美味しそうな事! 木の温みの中では、哀しみやいらだちも当然あると思うが、それらをうまく木が吸収してくれたらよいが・・・。川の上に浮かんでいるのだから、多少の浮遊感もあろう。一度体験してみたいものだ。(共にアンケート)

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